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れれれのおじさん

Author:れれれのおじさん
長崎生まれで高校卒業まで長崎育ち。74年に建築設計の世界に入り、ゼネコンの設計部、アトリエ系の設計事務所などを、さらしに差した鉛筆一本で渡り歩いて設計を修行。86年に縁もゆかりも無い福岡で設計事務所を開設。日本の気候風土に合った風通しのいい住宅を基本に、自然素材を使った住宅造りを続けている。

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2018/03/07 (Wed) 08:21
昨日見た「ガイアの夜明け」でびっくりしたなーもう

私が結構よく見る「ガイアの夜明け」という番組があります。

昨日は中古住宅をリフォームして再活用するという業界に関係するタイトルだったので、眠いのも我慢して見ていました。

先週は下町ボブスレーが今度のオリンピックで採用されなかったことを報道していました。しかし、その内容は「日本はすごい」という相変わらずの今やこの国のTV番組にシンクロした姿勢に白けてしまい、途中で見るのをやめてしまったものです。

しかし考えてみれば、放送した局の母体が「日本経済新聞」ならそうなるかと・・・・・

さて昨日は中古住宅をリフォームするという番組でした。

放置されている中古住宅を買い取ってリフォームして転売する戦略を取っている不動産会社の担当者が、リフォーム工事中の現場で大工にあれこれ指示していたなかで驚いたのは、玄関にどんと構える壁がどうにも邪魔なので撤去してくれと。その壁の仕上材を掃いだ所、ここに有る柱は2階が乗っているので外せないとの大工のコメント。

そりゃそうだろうと思っていた所、大工が、柱を切って二階の柱が乗っている梁の下に新たに梁を加えて補強したので、これで安心とのTVでコメント。

驚いて椅子から2mくらい飛び上がりました。オイオイ、そりゃないだろう。

補強の仕方があまりにもズサンすぎるのと、その柱は通し柱じゃないのかという検討もしたのかどうかも分かりませんが、私の予想ではひょっとしたら通し柱じゃないのかということ。

理由として40年位前の住宅なら、柱の直下率<上下の柱の位置が揃っている確率>を気にして作っているはずもなく、当然2階の柱の直下に1階の柱が無い場合、2階の床梁を大きくして柱を載せることがほとんどですが、流石に通し柱だけは構造的に重要な柱になるので1,2階ともに同じ位置に有るハズ。

件の中古住宅にも玄関ホールにドカンとその柱が立っていたということは、その意味からして通し柱の可能性が大きいと推測しました。それを簡単に切り取り梁を補強したから安心というあまりに安易な手法に唖然です。

仮にその柱が通し柱では無かったとしても、上の2階の柱が受け持つ荷重と筋交いの向き<その筋交いが圧縮を受け持っているのか引張を受け持っているのかによって、梁のサイズが異なってきます。>を見もしないで105角程度の木材を既存の梁の下に補強すれば安心という代物とちゃいまっせ------と、何故か大阪弁(^^ゞ。

梁の下にもう一つ梁をつけた梁を「枕梁(まくらはり)」と言いますが、これは一般的には大梁を受ける際に使うケースが多く、今回のような上の階の柱を受け持つという使い方はあまりしません。

梁を2重にしたところで一体化されていないために梁成<梁の高さ寸法>は所詮1本分の強度しか期待できないということ。梁成を合算で期待したいのなら一体化する方法<上下の梁を計算で出された大きさのボルト数本で上下の梁を緊結して固定する方法か、もしくは上下の梁を構造用合板で両面から指定された太さの釘で指定されたピッチで打ち込む方法>で施工しないと全く意味が無いということ。

梁を一体化するということはこれほどに面倒くさいことをしないと意味が無いということです。その意味でも、今回のこの番組での安直な梁の入れ方にびっくりポンです。

このような施工方法を採用しないと、その梁は長期に渡って沈み込みが起き、将来的に梁が折れて倒壊する可能性も否定できません。

それともう一つびっくりしたのは、一体化にもなっていない追加したその枕梁をボルトや帯金物等で柱と金物で固定しないで、昔ながらのカスガイという金物で安直に向こう側とこちら側の二箇所に打ち込んだだけ。

これは全く地震の影響というものを考慮していないというか、そもそもがこのリフォームは新耐震基準に合わせるということを無視しています。というか、この担当者あるいはこの会社が無知なのでしょう。

専門誌の情報には、同じような中古住宅をリフォームして付加価値を高めて転売する専門会社がありましたが、そこの会社は買い取った住宅をスケルトン状態にして耐震基準を満たすために構造計算を行い、確認申請を出して検査済証まで取得していることが紹介されていました。

そこまですればいくらもとは中古とは言え、建物として耐震強度は安心でしょう。
転売価格は跳ね上がるとしても、会社としてはそういう所得層をターゲットにしている様子でした。安心=会社としての信頼性を確保することを目的としている様子ですが、昨日の会社は、そういう耐震化を全く考慮しないうえに手がけた大工もそういう知識も持ち合わせていなかったようです。

そのリフォーム住宅のお披露目では、たしかに以前のボロ家状態に比べたらきれいな<当たり前ですが>状態で、販売価格も土地付きで1000万を10%程度超えた価格に設定していたためその安さに惹かれて見学者も引きも切らない様子が写っていましたが、上記した面で椅子から飛び上がるような方法でリフォームしていたのを見ると、いやはや、これは怖い建物だなーと、バーボンをチビリチビリ飲みながらうなりましたね。

先の下町ボブスレーを手がけていた工場の人が言っていましたが、「いいものを作れば分かってくれる」

そう、この言葉に日本のものづくりはしがみついてきていて、実際に今までは売れてきたのも事実でしょうが、しかし今やその考え方だけじゃついていけないということも知らなきゃいけない。

ハード面での「いい」商品は、いずれは何処の国も作れるようになります。そこから一歩進むためにはその金言のごとく刷り込まれた認識からの脱却が必要じゃないかと先週の番組を見て思ったものですが、昨日の番組では「いい」モノの捉え方がまちまちだということもわかります。

先の構造的に新耐震基準に合わせたリフォームをして転売している販売会社と今回放送された販売会社。その違いはターゲットとしてる購買層に有るのでしょうが、いくら低価格とは言え、欠陥を内包しているような商品を手がけていれば、明日の神戸製鋼、東芝になることは予想できます。

やはり「いい」モノとは、ユーザーにとって安心な商品であることが最優先であることでしょう。それの後でデザイン性が優れていることが求められているはずです。

デザインが安心なことを押しのけて最前線に出てくるような風潮をもてはやしている、我々建築設計業界の姿勢も問われるべきだろうと、色々考えさせられました。



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