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れれれのおじさん

Author:れれれのおじさん
長崎生まれで高校卒業まで長崎育ち。74年に建築設計の世界に入り、ゼネコンの設計部、アトリエ系の設計事務所などを、さらしに差した鉛筆一本で渡り歩いて設計を修行。86年に縁もゆかりも無い福岡で設計事務所を開設。日本の気候風土に合った風通しのいい住宅を基本に、自然素材を使った住宅造りを続けている。

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2017/02/13 (Mon) 09:27
入院した病院で感じた非常用階段の問題

 入院していた福岡大学筑紫病院の廊下をリハビリを兼ねて点滴を持って歩きながら、平面図形を頭のなかで描きました。

 入院していたフロアーの形は「目」の形で、両サイドの縦長の左下と右上端部には避難用外部階段が外部にありました。中の3箇所の四角の枡は、上下端がナースステーションとスタッフの諸室や処置室。中央の枡はエレベーターホール、屋内階段、スタッフ専用の諸室、手術室へのエレベーターなどが置かれています。

 「目」形の外周部に入院室とトイレが配置され、上記したエレベーターホールの廊下を挟んだ左側には入院患者と面会に来た人の談話用ラウンジやお茶などを自分で入れられる機械が設けられています。

 その両サイドの廊下の突き当りからは外が眺められますが、その突き当りから避難用の非常階段へのアクセスは廊下からドアを開け、階段を数段降りて廊下から見えないところに設置されている避難階段に行くような設定になっていますが、問題はそのドアを開けて数段降りないといけない形。

 何故そんな形にしているのか最初は疑問でした。そもそも入院患者は自分で歩いて避難できる人もいれば歩行できない人も混在しているし、自分で歩行できてもそれはとてもおぼつかない人のほうが圧倒的な数であるはず。であれば、何故ドアを開けて数段降りないと避難用の階段に行けないような設計をしているのか疑問に思っていましたが、ある時、ははーん、そういうことを考えたのかとわかりました。つまり、廊下からの眺めを優先したのではないかと。

 廊下からドアを開けてそのままフラットな面で非常階段へのアクセスが有ると、廊下からの目線には当然手摺にが目に入りますので、その分たとえ手摺がスチールパイプなどのスリット状のものであっても手摺が邪魔な存在として入りますし、スラブも目に入ります。しかしこの病院は数段下がっているので当然手摺やスラブは視界の下の方になるので邪魔な存在として意識されません。

 それは、非常時の避難時のスムースな移動を犠牲にして。

 これに気がついて他の避難階段の場所も確認しましたが、同じような作りをしています。つまり、私の予想はほぼ的を射ているのではないかと確信しました。

 確かに眺めはよく、そこに椅子をおいて終日外を眺めている人も居ました。病院の周辺は山や畑が遠望できる眺めのいいところでしたので終日眺めていても飽きの来ない景観の良いところでしたし、入院中に数回雪が積もったときには山水画のような眺めが出来ました。

 しかしそれと避難時の安全性とを引き換えにすることには大いに疑問、と言うより間違っているのではないか。病院という施設の性格上、何をさておいても入院患者の安全が最優先事項であるはず。

 景観の良さを活かすのなら、病院以外の施設であればそういう設計方針は優れていると思われます。

 入院したフロアーだけでしたので他は全く不明ですが、建物の意匠はコストがかかっているようでなかなか好感のもてるものであっただけに、なんだか少々惜しいなーという印象を持ってしまいました。

 もうン十年前になりますが、私が神奈川県で設計した個人の総合病院と比較して、当時はコストの厳しさもあって病院設計に対して設計者としての想いの10%も込められなかったことを思い出すと、これだけコストが掛けられた設計者が羨ましく思えたのも事実です。

 入院したこの病院で得たそうしたものが今後、私の設計でどんな形で反映されるのか分かりませんが、意匠性と機能性のせめぎ合いは何時どんな施設でも起こるものだと言うことを実感できました。

 

 

 

 
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