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れれれのおじさん

Author:れれれのおじさん
長崎生まれで高校卒業まで長崎育ち。74年に建築設計の世界に入り、ゼネコンの設計部、アトリエ系の設計事務所などを、さらしに差した鉛筆一本で渡り歩いて設計を修行。86年に縁もゆかりも無い福岡で設計事務所を開設。日本の気候風土に合った風通しのいい住宅を基本に、自然素材を使った住宅造りを続けている。

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2014/01/29 (Wed) 13:04
地盤の話

 住宅瑕疵担保保証履行法が制定されて以来、地盤調査の必要性が住宅を取得する方々に意識が高くなってきたのは喜ばしいことです。

 しかし残念ながら、そうした地盤調査を実施して地盤対策をしたにもかかわらず地盤トラブルが100件/年近く発生しています。
 その約70%が沈下問題で、さらにその内の約40%が地盤調査の結果を基に地盤改良や杭等の地盤対策をしたにもかかわらずトラブルが生じているというH12~H15の調査データがあります。
 地盤調査が適切ではなかったのか、設計者に調査報告書を読み込む判断能力が不足していたのか、あるいはその両方なのかはこの情報からは不明ですが、住宅取得者にとっては地盤調査の方法や種別は専門家に任せるケースがほとんどです。
 確かに調査結果を読み込むことは専門的な知識が必要になるので専門家の分野であるのには違いありませんが、これから住宅を手に入れようと思われている一般の方にも地盤調査の種類を知っていただいた方がよろしいかもしれません。

まずは推定地耐力の簡単判別法。
1.根切り底の目視(土の色) 
 ①赤土(ローム層)・・・・比較的良
 ②黒土(堆積土)・・・・・比較的悪い

2.根切り底を踏む(60kgの人が根切り底に降りた場合)        
 ①靴が深くめり込む・・・・1.5t/㎡以下→約14.7kN/㎡以下
 ②靴の踵がめり込む・・・・3t/㎡程度→約29.4kN/㎡程度
 ③靴が浅くめり込む・・・・5t/㎡→約49kN/㎡

 おそろしく簡易的な方法ですが、とりあえずの目安として判断は出来ます。
 望ましい地盤の強さは、上記の③ですが、この場合の住宅の基礎は布基礎でも大丈夫です。
 地盤の強さの違い(長期許容応力度)による基礎の構造種別(布基礎とべた基礎、基礎杭の要不要)を下記に書くと

20kN/㎡未満の場合・・・・・・・・・・基礎杭を用いた基礎の構造
20kN/㎡以上30kN/㎡未満の場合・・・基礎杭またはべた基礎
30kN/㎡以上の場合・・・・・・・・・・基礎杭、べた基礎、布基礎

布基礎とべた基礎の違いは、別記します。

 通常、建物の敷地は建て替えの場合は旧家屋が存在している場合、杭支持でもなければその敷地は建物で長い間締め固められていますので建て替えるために建物解体時に地表がある程度乱れても地耐力の面からは心配する必要は少ないですが、それでもこれから先建築を長年使っていく社会的要求の観点からすると、その場合でも念のために地盤調査をすることが必要です。

 一般的に住宅の分譲地では、山を崩して整地した土地を購入するか、そうした土地で建てられた建売住宅を購入するというケースが多くみられます。
 その際にどういう整地方法をしたのかを気にしましょう。

山の斜面を切り取って(切土)平らにした土地
この場合は地盤はもともとの地山を利用することになりますので、地盤的には安定しています。豪雨などでも崩れる心配は少ない地盤です。

山の斜面切り取った土を盛り上げ(盛土)て平らにした土地
この場合は盛り上げた土がどれほど締め固まっているかを調べるための地盤調査に慎重を期す必要があります。豪雨による土砂崩れなどのリスクも持っていますが、整地した土地の大部分はこうした盛土による土地と言えます。

 山の斜面を整地した分譲地では、切土、盛土が繰り返され階段状に擁壁などが造られていることが多いので、こうした擁壁の検査済証の有無を確認する必要があります。
 これは建売の場合でも要求するべきです。
 検査済証があるからと言ってすべて安全というわけではありませんが、少なくとも法規で定められている通りに施工されているということが役所から認められているという安心感を得ることができますし、そういう敷地であれば擁壁が崩れるという心配を持たなくて済みます。
 しかし、この検査済証というのは工事完了時に関係官庁もしくは指定確認機関により現場を申請図面通りに施工されているか否かの検査を行い、申請図面通りであると確認された場合に発行される証書ですが、検査は多くても二回。ほとんどが完了時のみの検査ですので、実際に構造的に影響がある部分は隠れてしまって見えない状態になっています。
 その意味でも検査済証があるからと言って全く安心だということにはならないことは理解していただいた方がよろしいでしょう。
 長崎のような斜面都市では、階段状の敷地でコンクリートや間地ブロックなどで大規模な擁壁が組まれている分譲地も多々ありますが、古くなってその擁壁にヒビが入っている場合やその補修跡がありありと目につくような敷地はいくら検査済証があるとしても、擁壁の劣化が顕著であるので絶対購入することは避けましょう。
 しかし検査済証は無いよりあったほうがはるかに信頼がおけますので、擁壁の検査済証があるという前提で話を進めます。

 その敷地を購入するかどうかの段階ではまだ地盤調査は出来ませんが、良心的な分譲会社では各分譲地の地盤調査のデータも提示するケースも増えてきています。
 そのデータからどう読み込むかは専門家の仕事になりますので、土地を購入する前の敷地の状態をどう読み込むかの方法です。

 市街地ならば隣接地に造られている塀や家屋の外壁、基礎廻りを見てください。
 塀が傾いていたりひび割れが入っていないかどうか。同様に家屋の外壁や基礎に関しても同様です。また、前面の道路の状況を確認してください。道路に凹凸がないかどうか。道路面に割れがないかどうか。
 こういうことはその敷地周辺の地盤の沈下の有無を把握することになります。そのすべてに関して良好であれば、ひとまずは地盤としては安心であるという情報を得ることができます。

 郊外では、上記以外に植栽に注意してください。
竹:根が浅く横に伸びるので、地下水位が深い場所には群生しない。豊富に地下水が供給されている場所を好み、低地を臨む斜面の据据地でよく見かけるので、竹林を背後 に控えた低地側の宅地は盤湿潤な軟弱地であることが多い。
高木:その樹齢よりも古い土地であることは確かで、地下水位は深い
高木がなく灌木ばかり:地下水位が浅く、深く根を張れない

 こうした状況が見受けられたら、その周辺の土壌は湿潤な土地だと判断します。このような土壌は水を含みやすく圧密沈下を起こしやすい土壌になりますので、できれば避けた方がよろしいでしょう。
 しかし諸般の事情により購入せざるを得ない場合は、地盤改良や杭基礎など施工することで建物への影響を極力少なくする対処を取ることになります。

地盤調査の目的は、
1.地盤の構造を見分けること
2.地盤物性
3.地下水の水位、方向等
4.地層形成の履歴
を把握することです。

地盤(土)の種類によって起こる現象は下記のようになります。
・軟弱な粘性土や腐植土(有機質土)の地盤→圧密沈下
・緩い飽和砂質地盤では液状化、不飽和砂質地盤→崩壊、沈下
・膨張性粘土地盤→吸水不同隆起
・脆弱性泥岩盛土地盤→乾湿による細粒化
・大阪層群海成粘土地盤→コンクリートや鋼材の腐食や植物不生育
・火山起源の地盤→崩壊、その他多種多様

日本の地盤の種類はおおよそ
山地→古生層、深成岩類
低地・盆地→第三紀層、沖積層
丘陵地・台地→洪積層
低地→沖積層

洪積層は258万年前~18千年前
沖積層は18千年前以降
に分けられますが、洪積層は海面低下、沖積層は海面上昇によるもので、耐力的には期待できないものです。
 日本の国土には洪積層や沖積層が大部分を占めています。基本的に地盤が安定している場所は希少で、大部分は地盤改良や建物の規模、構造にもよりますが杭基礎を考慮した方がよさそうです。
 九州北部では佐賀はその大半が佐賀平野という平らな土地ですが、古来から有明海の干潟の土壌でもあったようで、2階建ての鉄骨造でも杭を打つ必要があるほどに地盤的には柔らかい地方です。
こうした地域の特性を把握して建物の設計に反映することは大切です。

 次に建築予定地の地盤調査の種類です。
地盤調査の方法は
・標準貫入試験、
・平板載荷試験
・スウェーデン式サウンディング試験(以下SWS)
が一般的に行われています。

標準貫入試験の特徴
・貫入試験用の土壌採取用アンプラーとよばれる鉄パイプを、やぐらを組んだ上部から打撃を与えて土壌の中に貫入させ、その打撃の数、重さ、貫入値から地盤の地反力を測定する。
・規模の大きな建物の地盤調査として一般的に行われている。
・60m程度の深い深度(杭を打つ場合、支持層に達する長さが分かる)まで測定できる。
・土壌のサンプリングが手に入りやすいため、土質が確認できる。
・地下水位が確認できる。
・地反力のN値が得られる。
・1坪程度の調査スペースが必要。
・コストがかかるので大規模建築以外は1ヶ所程度(通常は予定建築物の中心部)の調査にとどまるため、地盤内の地下形成は把握できない。
・測定時の打撃音がする


平板載荷試験の特徴
・地盤の支持力が直接判定できる
・作業スペースが大きくなる
・コストがかかるため、1敷地に1ヶ所の測定にとどまる。
・深度方向の調査が困難

SWS試験の特徴
・費用が安価であるため、建物の4隅の角と中心部の5か所を測定するのが一般的
・測定スペースが小さい。
・深度方向に連続してデータ―が採れる
・地盤内の地形が予想できる
・土壌サンプルが採取できない。
・単管式ロッドを手動や自動で挿入する場所に礫、ガラなどがあると挿入困難になる。その場合は測定場所を移動する。
・深度としては10m程度

以上の特徴がありますが、住宅の場合はもっぱらコスト面でSWS試験が一般的です。

 このSWS試験のデータ―を読み込んで、基礎の形状あるいは土壌改良などの方法を検討することになりますので、建物を計画する場合は例え小規模であってもSWS試験を行うことは必要です。

 このように地盤調査をして初めてその土地の地盤の状況、地質などの把握が得られます。また地盤内の土壌の形質なども予想が建てられます。

 見ることができない地盤内の土壌は水平であるはずもなく、大きく波を打っているか、どちらかに傾いているかであることが普通です。また地下水はどのあたりにあるか等を予想することで、大規模な建物になると杭の長さ、杭の種類などが決められます。

 建物は基礎が肝心と一般的に理解されていますが、その基礎を乗せる地盤の特性を正確に把握できないで、地盤に合わない基礎を選定してしまうと建物のリスクは大きくなります。

 そうしたことから、建物の計画をスタートする場合、何よりもまず地盤の状況を把握することが大切です。
 そのためには地盤調査は必須条件です。

 以上が、地盤調査の目的とその種類、方法の紹介です。


 今回は長かったうえに硬い文章になってしまいました。
 m(__)m



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