昨日書いた建築の撮影画像です。画像をクリックするともう少し大きなサイズになります。
<武雄市図書館>
アプローチ

記憶ではこの図書館建築に際して反対派は、周囲に緑が多いのになんでわざわざ金をかけて植栽するのかという意見だったそうな。それは日本国は森林が多いのに都市に緑は不要だという意見に同じようなもの。
内部

木の色合い、照明の明るさ、屋根勾配に沿った斜め天井の度合いなど、いろいろな要素によって、図書館でもあり本屋でもあるという室内の静寂さと相まって落ち着きのある空間に仕上がっていることがわかります。
2階通路からの見下ろし

大きなトップライトが、その明かりをもってプラグマティックな機能のみならず、室内の中心性を醸し出しています。
トップライト周りの室内

書架の間は広くもなく狭くもないという程度の距離感。平日というのに結構な来訪者がいたのには驚きです。もっとも私もその中の一人ですが。
外観

周辺環境がゆったしりた敷地の中に、緩勾配の片流れ屋根の大きな屋根構成の建物が軒先を低くしてこれ見よがしの主張をしないでひっそりと置かれていることがわかります。好感が持てる設計です。
巨大なトップライト

一般的な既製品を使わないでオーダーで作ったトップライトですが、室内の印象からこのサイズで正解だったのじゃないでしょうか。
<九州芸文館>
正面

派手といやぁ派手なデザイン。九州の山並みをモチーフにしたとのコンセプトのようですが、それは多分後付け。要はやりたかった形態じゃないかと思いますが。
確かに面白いですが、しげしげとみているとあることに気が付きました。
次の画像。
軒先のディテール

軒先を絞り込んで薄く見せています。意匠設計者がいつも軒先をシャープに見せたがりますが、その手法です。
何か気が付きませんか。
正解は最後に
石をランダムな貼り方に見せている外壁

この建物はほとんどがオーダーメードで作られています。鋼製建具もこの石貼りも。
サイズは特注じゃないにしても貼り方が凝りに凝っています。面白いっちゃ面白いんですが、意味が分からない。
新しい表現方法を模索したとでもいうのでしょうね。芸術文化会館だから。
お隣に建っているアネックスと呼ばれる鉄筋コンクリート造の研修施設。

ここも軒先の処理は先ほどと同様ですが、R面を生かすために曲面ガラスを多用しています。
曲面ガラスがどれだけ高いか、私はチャレンジしても一回も実現したことはありません。湯水のように税金使うとこんなこともできるのかという例。
形態的には面白いデザインですが、武雄市図書館のような感動は起きません。若い人には受けるかもしれません。まるでコルもどき。
さて先ほどの問題の解答。
つまり軒先をシャープに見せたいがために、一般的にある軒樋を省いているということです。
軒樋が見当たらないので、内樋としているのかとさんざん見ましたが、見つけ出せませんでした。
つまり雨水は屋根から直接地面へ流れ落ちているという状況でしょう。
降雨時に見ないとはっきりしたことはわかりませんが、これもずいぶん前に私がこの施設同様に軒先をシャープに見せたいデザインにして軒樋のない建物を設計した時に、確認審査設備で、軒樋をつけろ。つけない場合は地面に雨水を受けて流す処理をしろと指導を受けました。
建物が無い場所では雨は地面に直に落ちるのに建物があるところには樋をつけて雨水を受けなきゃいけない根拠は何かと尋ねたところ、法律で決まっているとのことでした。
法律名はずいぶん前になるので忘れましたが、世の中に納得のいかない法律はごまんとある中の一つだと思いはしたものの、そういう規則があるなら仕方がないと地面に雨水受けを設けて側溝に流す方法をとりましたが、いまだに納得がいっていないので記憶にしっかりと残っていますが、さて隈さんのこれ、軒樋が無い。
地面に雨水受けがあるのかと思いきやそれもなし。あれま。国際的建築家なら許されるってこと?それとも、県の職員が設計主体だから樋は省いてもヨカバイってこと?
いっちょんわからんばい。
お隣のアネックスも軒先の問いはありませんが、これは軒先がせりあがっているので建物中央部分に樋が設けれているのだろうと好意的に解釈しました。
軒先の樋は軒先のエッジをシャープに見せたいデザインをした場合にはその処理が難しいのも確かです。しかし、軒樋の効能は、建物外壁を雨水による汚染や劣化から守るという目的も確かにあるのも事実ですが。
さて、建築的に私の軍配は武雄市図書館に上げますが、皆さんはどうですか。