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れれれのおじさん

Author:れれれのおじさん
長崎生まれで高校卒業まで長崎育ち。74年に建築設計の世界に入り、ゼネコンの設計部、アトリエ系の設計事務所などを、さらしに差した鉛筆一本で渡り歩いて設計を修行。86年に縁もゆかりも無い福岡で設計事務所を開設。日本の気候風土に合った風通しのいい住宅を基本に、自然素材を使った住宅造りを続けている。

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2019/07/25 (Thu) 10:07
被害を受けた京アニメの建物に関して

京アニメの火災に関し、報道関係の内容を読み込んでも、防火設備は不要な建物だったとの記事を目にしますが、その殆どが消防法上のことを書いていると思われます。

建物に関する規制は、建築基準法と消防法と両方からかかってきますが、消防法だけの記事が一般的に流布するに関し、専門家として建築基準法上の疑問点を述べてみます。

まず、3階建ての3階に居室がある場合の直通階段は防火区画が必要です。
これは居室部分が火災にあっても安全に避難できる目的ですが、今回の火災で最大の疑問点がここにあります。このことは同じ専門家にも疑問に思う内容です。

避難のための階段が2ヶ所求められる建物は階数、規模、構造体の種類、建物用途により様々な規制があります(多岐にわたるので詳細は省きます。)が、今回のケースでは2箇所の階段は必要な建物だった様子です。したがって、報道に出ている範囲では、火災時に煙突状になった螺旋階段ともう一つ屋上まで通じていた階段の2ヶ所があります。

ここで問題は、その2箇所の階段が建築基準法で言われる竪穴区画がなされていなかったのではないかということ。

ニュースでは螺旋階段が焼けただれていましたが、本来ならこの階段も防火区画されていなければいけなかったはずなのに、何故むき出しで設置されていたのかということです。

以上のことから、当初からむき出しの階段だったのであれば明らかに建築基準法違反。建築基準法を遵守していればここまでの被害は出なかったはずです。

もう一つ考えられるのは、外観から見ての違和感。つまり2階と3階の外壁の作りが一貫性がなく、ひょっとして当初は2階建てだった建物を増築して3階建てにしたのかも。階段に関しては、当初からあったのが螺旋階段で、増築した際に屋上まで行ける階段を設けたのかなということ。

2階建てであれば竪穴区画は必要ないため、この推理も可能性はあります。

TVでこの会社の社長が、外部に非常階段をつけるべきだったとコメントしていましたが、外部につける非常階段も色々と問題がありますが、今回のケースではそれがあればどれくらいの人が助かったのだろうかと思うと、残念でたまりません。

しかしよくあるケースで、安全の確保のための非常階段ですが、防犯の意味で日常的には鍵をかけているケースが多く、また物販店などでよく見られるように、その階段に至る経路上に様々な物が置かれるケースが有り、そのことが避難を妨げることがよく見られます。

消防の定期査察時にこういう状態が見られると改善命令などが出されるようですが、だから改善されたという話はあまり聞こえてきません。やはり実際に火災で被害者が出たということでもない限り、なかなか改善されません。火災発生はレアケースであり、自分のところでは起きないという、誰しも持っている根拠のない自信なんでしょう。

内部に関する疑問点として、内装に板が使われていた画像がニュースで見ました。
3階建て以上の建物の場合、内部に使う仕上げ材や下地材には不燃材料もしくは準不燃材料を使う必要があります。これが建築基準法第35条の2に書かれている内装制限という法律です。

窓からの火炎の出方が激しいので、内装制限がかかっている建物なのに何故と思ったのがその理由です。
火炎の激しさはガソリンの爆発によるものでしょうが、それにしても異常な激しさで、昔見たタワーリングインフェルノというアメリカ映画を思い出しました。日本の建築基準法であれば、高層建築があれだけ窓から火が出るほど燃えるはずもなく、ましてや避難階段に煙が充満するはずもないのにという思いで見ていましたが、その思いが湧き上がったものです。

ひょっとして内装制限も無視していたのか。

次に、屋上への避難扉が開けられなかったことで、屋上の出口で数人が死亡していたとの報道でした。全く避難の役に立っていません。

その鍵がどのようなものだったのか不明ですが、やはり防犯を考えて日常的には鍵がかかっていたのでしょう。
内部からはフリーに開けられて外部からの侵入を防止するという鍵(一般名称では「ホテル錠」)があるのに、それを使わなかった理由は何故なんでしょうか。

これら疑問もいずれは現場調査をすることで解明されることでしょうが、現段階では以上のことから、どうも建築基準法違反だらけの建物ではなかったかと推測しています。

それにしても悲惨な事件です。

精神異常をきたした加害者の一方的な思い込みによる大量殺人事件ですが、この加害者がまともな判断ができなかったということで無罪になったりしたら、それこそ被害者は何も救済も得られない殺られただけということになりそうな気がします。

とんでもない事件や事故が日本中で沸き起こってきています。明日は我が身が、意識せざるの加害者か被害者になると思って生活していくしかないのでしょう。




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2019/03/05 (Tue) 10:18
建築基準法改正講習会を受けて

昨日、国交省主催の基準法改正のための講習会に参加しました。
雨模様でしたので、運転が好きじゃない私ですが、やむなく車で向かいました。

開始時間のだいぶ余裕を見てでかけましたが、天候のせいかやはり車が多く、予想外の渋滞。ま、考えることはどなたも同じなので。

開始10分前には会場に到着したものの、今までスキルアップと新しい知識を学ぶためにも講習会なるものには結構積極的に参加してきましたが、これほどぎっしり入っている講習会は久しぶりに目にしました。ざっと300人以上は入ると思われる会場はすでに満席状態。

たしかに時間ギリギリではあったものの、こんなに出席しているとは予想もしませんでした。
三人がけのテーブルは当然のように真ん中しか空いておらず、それも隣が女性なら気を使うので、むさ苦しいオッサン(と、加齢臭撒き散らせている私が書いています(^_^;))の間に座らせてもらいました。

改正された今年度版の建築基準法の本はすでに購入していましたが、講習会のメインの主旨は、現在検討中という改正条文を取り上げていました。
つまり、来年はこの講習会で取り上げる改正条文が国会で承認されれば施行されるということを意味します。

ヒエ~(T_T)

せっかくようやく改正箇所の条文をオボロゲながらとはいえ覚えたのに、今度はたっぷりの量に戦意喪失です。

ハァ~、やれやれ(-_-)

おまけに、建築基準法の各規定内容が仕様規定から性能規定に移行しつつあるためなのか、その性能を確保するためでしょうか、やたらと新しい計算式が増えています。

そりゃまあ建築といえば確かに工学部にあるとはいえ、いままで実務で三角関数や加減乗除だけでやってきたのに、高校時代に経験してきたはずのマイナス乗、分数乗など、いまやすっかり忘れてしまった計算式を目にしました。
改めて、ああ建築は理系だったんだと気が付かされましたものね。

こうなると使用頻度が低い関数電卓の出番が増えそうです。

ソフトがあるとはいえ、すでに施行されている建築物省エネ法で泣かされていますが、これからそうした計算が確認申請の段階で要求されるのがますます当たり前になってくるのでしょう。

会場で確認申請時に担当していた県の担当者も数名目にしましたが、確認審査窓口の担当者や民間の審査機関の担当者も大変だろうなーと、半分他人事のような・・・・

このブログを見てくださっている数少ない同業の皆様がた、この講習会は各地で開催されているようですので、資料だけも手に入れておいたほうが良さそうですよ。

国交省のサイトでダウンロードできるのかもしれません。確認していませんが。






2019/02/15 (Fri) 08:31
レオパレス問題

レオパレスの界壁無施工や外壁の防火認定を受けていない建築材料使用の問題で、会社側は記者会見で施工サイドの設計サイドの意志の齟齬があったと言い訳していました。

まずは外壁の建材の問題。

そもそもオーダーメードではない規格建物の場合、あらゆる建材に関しては企画段階で決まった材料を選定しています。理由はスケールメリットを図ることです。
特定の材料を指定し全国で大量に使うからこそメーカーからの仕入れ価格も抑えられ、工事費に計上している対工事費の12%程度の計上金額は素人さんからも目に見える利益ですが、そういう低く抑えた健材に載せた隠れた利益も組みこまれます。
つまり、工事費見積もりに計上されている目に見える諸経費率12%程度プラス建材に乗せた隠した利益率12%程度の合わせて24,5%の利益を得られる仕組みになっています。

この仕組は規格建物を販売しているハウスメーカーなどの建築会社なら通常のやり方。

その流れからすると、現場で勝手に判断して建材を変えるということは社内規定に反することになります。大量発注により仕入れ価格を抑えて利益を確保していたその利益を減らすことになりかねません。やむを得ない場合は会社に判断を仰ぐはずです。

そう考えると、施工サイドで勝手に判断して変えるということは常識的にはありえない話です。たしかに単発的に現場監督が勝手に判断して変えてしまったという事故は起きる可能性はあるでしょうが、それが全国的に起きるということは考えにくい。

会社側が言うことが正しいという前提でするなら、そういう突拍子もない現場監督が全国的に存在したということですね。

素人さんなら会社側の言い分を正と思い込む可能性もありますが、業界の人間はウソを塗り重ねているとしか見えません。


界壁の問題。

建築基準法では共同住宅の場合、各室の壁(界壁)は上階の床下や小屋裏の屋根下まで伸ばすことになっています。これは遮音性能と防火性能を確保するための規定です。
この場合の界壁は、報道では「耐火構造」とされていますが、正しくは「準耐火構造」です。

これは「耐火構造」ならば火災時に倒壊に耐えるまでの時間が1時間以上必要ですので、従来の木造の共同住宅であればそれに合う形式は認めれられていませんでした<現行の基準法では木軸でも指定された工法を採用すれば「耐火構造」は可能になりました。>ので、ワンランク下の「準耐火構造」で指定されました。

そして、この「準耐火構造」の屋根裏や小屋裏の作りも、かなり厳しいものがあります。石膏ボートの二重張りとその総厚が適正に隙間なく施工されることが条件です。

防火性能の免除は、その居室の天井が「強化天井<大臣が認定した構造方法または認定>」で完全に隣室と区画されている場合のみ界壁は免除されますが、遮音性能に関しては免除規定はありません。

この「強化天井」の仕様というものも使用できる建材の種類や厚みなどが厳密に決められていますので、レオパレスが言い逃れしている防火性能は確保しているという言い分も、信用できるかどうか、誰がそれを確認したのか疑問に思います。

上記した「隙間なく」ということですが、TVでレオパレスの小屋裏などを見ると、鉄骨のブレースやプレートなどが取り付いているため、隙間なく貼ることはかなり困難ではないかと懸念します。

仮に石膏ボードを適切に二重貼りにして、鉄骨のブレースやプレート周りも耐火シール<ここも肝心です。一般のシール(隙間充填剤)ではなく、耐火性能を持つシーリング材で隙間なく施工することが条件です。>で充填したとしても、本来鉄骨というものは熱による膨張伸縮を繰り返す代物だし、ブレースそのものも台風などの強風時や地震時の振動により動きますので、数年後にはそのシール材に隙間が生じることも可能性は大きいです。

準耐火構造の界壁の免除はあっても、遮音性能に関しての免除はありません。

いずれにしても、レオパレスの行ったことは確信犯的な悪質違法行為と判断できます。

社長も初めて知ったようなことを延べていましたが、そんなわけがあるはずがない。そういう悪質行為によって急成長した会社だということがバレてしまいました。

レオパレスはエアコンや家具付きを売りにしていたので人気があったようですが、昔から壁の薄さに関しては知られていたようです。

しかし長年東京でアパート暮らしをしていた我が身からすれば、レオパレスに住んだ経験はありませんが、やはり壁は薄かった。特に吉祥寺の東京女子大近くのアパートにいた時は上下3室づつの2階建て6室で2階の端部屋にいました。

1階はすべて新婚さん、2階は私以外は女子大生という、後から考えればちょっとまずいようなアパートにいました<当時は赤坂の設計事務所に勤めていましたので、日曜以外は寝に帰るだけでした。>が、案の定、隣や階下の話し声や深夜の***の声も下階や隣室からもろに聞こえて来て、独身男性には悶々として寝付けない体に毒のような部屋にいました。

アパートはこんなもんだろうと思っていましたので、壁が薄いということに関してはレオパレスのみが悪質とまでは言い難い気もしますが。

私がいた吉祥寺のアパートの界壁や小屋裏はどうなっていたのかなー。今もあるのかはわかりませんが。


2019/02/05 (Tue) 07:18
アナログ路線継続中

設計打ち合わせ段階で、プレゼンテーションとして最近では3Dで提示することが多くなっていることと思います。

私も事務所に来訪していただいた方への初期段階でのプレゼで3Dを提示して説明することが増えてきましたが、どうもやはりパソコンの画面上でいくら視点を変えた提示の仕方をしても、相手は建築の素人であれば、いまいちボリューム感を把握していただいていないなと実感しますので、ボリュームスタディ的な模型を作って提示します。

模型屋さんに依頼したような立派な模型(私が作れるわけがない。)じゃない上に窓の位置やサイズを省いてボリュームだけをを把握してもらうための模型ですが、なにせ妻公認の不器用な私が作りますので、手をカッターで傷だらけにするは接着剤でベタベタにするは、そりゃもう明らかに「不器用」を絵に描いたような模型です。

そ、ご推察の通り、はっきり言ってヘ・タ・ク・ソ(お・も・て・な・し 風に(^_^;))です。
今まで何十個も模型を作ってきましたが、やっぱり不器用なゆえのヘタクソ加減は進歩しません。

そんな粗々のスタディ模型ですが、それを提示しながら説明すると、コレならわかりやすいと心底喜んでもらます。
つまりデジタルソフトの3Dは設計者サイドでの便利なアイテムであっても、依頼者が実感として把握してもらうためにはアナログ的な模型のほうがはるかに遡及効果が高いことです。

当たり前でしょうが、改めて実感させられました。

いままで打ち合わせ時には同じようなレベルの模型を作って提示してきました。そのレベルの模型でも喜んでもらえるので、それが嬉しくて模型を完成まで御覧くださいとお渡しすることが多かったのですが、完成時にはもちろん返ってくるはずもなく。

そういう経緯もあるので設計事務所であるにもかかわらず、模型があまり置いていないということになっています。

それはともかく、今現在では、設計図も完成した建物の模型を作成しています。
3Dで説明し、内部も3Dで説明してきたものですが、模型を作る時間的余裕がなかったせいもあってそのままになっていましたので、ここでもって改めて模型を作ろうと取り掛かっています。設計図も完成していますので、窓の形状、位置などはもちろん反映します。またデザインの核となるところは取り外して見られるような工夫をする つ・も・り(今回はこのフレーズを多用してるなー)。

出来栄えですか?
ご推察の通り、もちろん得意の粗々ですがなにか?

模型作りでは下準備に時間がかかります。
どういうふうに見せようか、内部を見せるためにはどこを外せるようにしようか、そのための組み立て手順をどこからするかなどなどを考えながらスチレンボードにカッターを入れます。

今でもスチレンボードに最初にカッターを入れる時は意外に緊張します。
失敗したらまたやり直せばいいんですが、やっぱり最初に考えたとおりのイメージが作れるかと思いながら取り掛かりますので。

つまり
施主へのプレゼンに、模型最強。

アナログ路線バンザイ\(^o^)/


2019/02/01 (Fri) 08:20
防火設備サッシの認定の変更

サッシメーカー営業から、既存の防火設備認定サッシのサイズが大幅に変わるとの情報が入りました。昨年から同様の情報はもらっていましたが、そのときはまだ先の話だし、設計に没頭している時期でしたのでそれほど認識していませんでした。

3月中の発注分は以前のサイズで可能だが、4月からになるとボツ窓に関しては大幅な変更は無いものの、無目や方立てで構成されるサッシは今現在では防火設備認定が取れないため、大幅な設計変更になりかねないそうな。情報を連絡してもらったメーカーでは、ボツ窓にしても最大寸法は幅や高さが2mまでとなっているらしく、今現在のサッシのサイズでは4月以降では変更処理が大変。

国交省が防火設備認定の厳格化に伴う変更が原因とのことです。

その起因は、国産の某サッシメーカーが防火設備認定を受けた仕様を誤魔化して、防火能力が劣る製品を繰り返し販売していたことによるのでしょう。
事態を重く見た国交省から防火設備認定の厳格化に伴うサッシ寸法の見直しにつながったとのこと。

要はこのように特定のメーカーによる違法行為が発覚すると、国家権力は喜んで押さえ込みにかかるため、同業他社も巻き込んで製品の見直しをせざるを得なくなります。そのことはことサッシメーカー単独で済む話ではなく、建築の設計にも大いに影響が出ます。

当面、防火認定サッシのサイズが限定されるのであれば、デザイン的に大きな制約を受けます。予算が潤沢にあればスチールサッシにすることも可能でしょうが、厳しい予算を強いられている場合では、限られたサッシのサイズで工夫するしかなさそうです。

メーカーもオーダーメードサッシが可能な防火設備サッシを販売していかないと、どんどんスチールサッシに食われていくことになります。

私の方も現在着工予定の建物がありますが、3月までにサッシの発注をかけないと建具の変更が大幅なものになり、こと様々な建築基準法の上の条文に影響がある開口部の形状や寸法が変更が生じることは、確認の取り直しにまで至る可能性があるため、対応が急がれます。


2018/11/04 (Sun) 08:44
今年の改正基準法の主な点

今年もいろいろな建築基準法の改正が有りました。其の中でも、防火地域内の木造の4階建て耐火建築物が認められるようになったことが最大の目玉でしょうか。

世界的にも木造の高層建築は実施に建てられています。しかし、世界有数の地震大国の日本と地震が殆ど無い欧米とを同列に考えられないために、この国の木造の規制が厳しいことはやむを得ないところがあります。

そうした中で、大規模の木造の建築物が世界的に実現し続けている上に木造のデザインを評価されている隈研吾氏や坂茂氏のデザインによる木造建築が海外でどんどん実現して評価されている状況を鑑みて、流石に日本の安倍に媚びることでしか脳みそを使っていないんじゃないかと思える官僚連中も建築基準法を改正しました。
其の結果、徐々にではありますが、木造の中高層建築が国内でも各地に数が増えてきています。

もう一つの大きな改正は、確認申請を要する用途変更部分の床面積の合計が「100㎡以上」という要件が「200㎡以上」まで拡大されたことです。これによって従来、住宅であった建物を老人施設などへの用途変更が容易になります。

空き家対策や高齢化社会による高齢者向けの施設を増やすという社会的な要求からのものです。

また、老人ホームの共有廊下や階段が、容積率計算の対象外になりました。
このことにより、老朽化して住民が減ってきた共同住宅等から老人ホームへの用途変更が容易になります。

細かいところでは、住宅や共同住宅の宅配ボックスに関わる部分の面積が、延べ床面積の1/100以下は、容積対象に含めないことになりました。

他にも種々ありますが、今年の改正は、以前よりも許容範囲を緩める方向になっていますので、これこそ本来の「改正」と言ってもいいでしょう。

建築基準法は過去には、姉歯事件以来、必要以上に厳しくする法律に改悪して、其の結果、建設不況を起こしてしまったという失敗もあります。その時に変えた法律を一般的には「改正」と呼んでいましたが、我々は「改悪」以外何モノでもないと認識していました。
当の改悪建築基準法のために、営業力はなくとも誠心誠意に施工に取り組んできた善良な建築会社が消えてしまったことは忘れることができません。誠実な社長や、社長同様に真面目な現場監督が、建築に対して希望や意欲を失って建築業界から去ってしまいました。

改悪建築基準法を押し付けた当の国交省の官僚は、負い目感じる人としての良心も持ち合わせずく、その後、エリートコースを進んでいったことも忘れません。

その当時のインターネットの記事に、世の中の実情も考慮せず建築基準法改悪に関わった悪代官のような連中の実名が載っていますので貼っておきます。

**********************


■姉歯偽装事件が発端で基準法改正

まず、建築基準法の改正の概要をおさらいしてみましょう。基準法改正の発端は、姉歯建築士による構造計算書の偽造です。

この事件は、ヒューザーの小嶋進社長や、総研の内河所長の経営指導を受けた木村建設の木村社長・篠塚支店長らからの、鉄筋を減らせと言う圧力を受けて、姉歯建築士が分譲マンションやホテルの構造計算書を偽造し、それが確認申請を通過し、構造耐力が不足した建物が出来てしまったという事件でした。

この事件では、構造計算書の偽造を見抜けない確認審査制度も問題となり、国土交通省も責任を問われ、再発防止のために建築基準法が改正されることになりました。

構造計算書の偽造を見抜けないのは困ったことで、そうならないようにするというのは良いことだと、普通は考えると思います。一体この改正のどこが、暴走だったのでしょうか。

■現実を無視した建築基準法改正で大混乱、着工戸数は半減

建築基準法の改正が行われ法律が施行されたのが6月20日でしたが、その直後の7月の「新設住宅着工戸数」は前年同月比23%減少した。さらに、8月は43.3%、9月は44%減少しほぼ半減しています。

住宅以外の建物も同様で、東京都内の特定行政庁(区・市役所など行政の建築指導課)が7月と8月に下ろした建築確認件数が前年同月比でそれぞれ約45%減少したそうです。

三大都市圏での分譲マンションに限ってみると、8月の着工戸数は、前年同月比64.1%も減っています。

法律の改正だけが原因で、建築の着工が半減するなどという事態は、過去に例の無い事態であり、建築行政としては史上最大の大失敗であることは誰の目にも明らかでしょう。

■大混乱の原因は、国土交通省の無能が原因

なぜ、ここまで混乱したのでしょうか。今回の法改正のポイントは、確認申請を2段階の審査にして、構造計算は2段階目で構造の専門化が厳しく審査することにしたことです。

しかし、混乱の原因は審査が厳しくなったことが主要因ではありませんでした。国土交通省の準備が全く間に合わなかったのです。事例をいくつか挙げてみましょう。

①法律の施行が6月20日であるにもかかわらず、申請書の様式を定めた「施行規則」と「審査に関する指針」はそれぞれ6月19日と20日に交付された。申請者も、審査側もそれから熟読して体制を整えるのだから、20日に申請できるわけがない。

②「建築物の構造関係技術基準解説書」が発行されたのは法施行から50日後の8月10日だった。それを参照しながら構造設計を進め、6月20日に確認申請をするのだ。6月20日の施行日より何ヶ月も前に発行されてしかるべきものだ。

③構造計算大臣認定プログラム。これは、法施行日の6月20日に間に合わなかったどころか、翌年の1月に至っても認定されたソフトは1本もない状況に陥った。そこで国交省は非常手段に出た。最も先行しているというNTTデータ製を1月21日を目途に「仮認定」する。その上で、民間の設計者や確認検査機関の協力を得て試行的にプログラムを使用し、ソフトウエアの不具合の確認(バグ・フィクス)等を行っていくのだという。

すさまじい状況ですね、法律は変わって、まえの計算方法や、プログラムは使えないけれど、新しい法律に基く技術基準や構造計算プログラムが無いという状況にもかかわらず、法律の改正を強行したのです。

■国土交通省は反省せず、責任者は昇進

このような状況を招いた責任者は、どのように反省し、どのような処分を受けたのでしょうか。

このような大混乱を受けて、国土交通省がだした「改正建築基準法の施行に伴う建築確認等の手続きの円滑化についてリンク」という文章に、この混乱の原因を次のように記載しています。

「改正内容について設計者、建築確認審査担当者等の関係者が熟知していないこと、行政実例が蓄積されていないこともあり、建築確認等の手続きが大幅に遅延し、建築着工が激減している現状にあります。」

驚きますね!先に見たように原因は国土交通省の準備不足であることは明らかであるにもかかわらず、自分の準備不足は一切わびずに、設計者と審査担当者が法律を熟知していないせいだと、他人に責任転嫁しています。恥を知れと言いたい。

では、この責任者はどうなったでしょうか。この法改正の責任者である小川冨由建築指導課長さんは、めでたく大臣官房審議官に昇進されたそうです。現在はUR都市機構の理事として御活躍しておられます。

■社会を大混乱させた責任者が、なぜ昇進したのか

今回の改正は、非常に大きな改正でしたから、法改正を実現しただけでもえらいと言うことなのかもしれません。社会が大混乱、大迷惑をこうむった等と言うマイナス面はたいしたことではなく、困難な法改正を実現したと言うプラス面の方が、官僚の論理では高く評価されるのでしょうか。

加えて、今回の法改正で国土交通省の焼け太りを指摘する声もあります。今回の法改正では、構造の審査が厳格化されましたが、その審査をしている(財)日本建築センターが国土交通省の天下り先なのです。

(財)日本建築センター理事長の立石真氏は元建設省住宅局長、専務理事の笹井俊克氏は元国土交通省住宅局住宅総合整備課長です。リンク

民間がどれだけ苦労しようとも、国の責任問題を回避できる法律を作り上げ、天下り先の仕事も増やした「天晴れなやつ」と言うのが、官僚内部の評価なのかもしれません。



2018/09/26 (Wed) 09:10
確認審査段階で驚いた話Ⅱ

パートⅡ

某市立学校の校舎新築時の確認審査段階でのこと。
ちょっと専門用語が出てきますので、ご容赦ください。専門家以外の方には面白くないと思いますがm(_ _)m

確認提出後に、学校ではよく見られる「渡り廊下」に関して、審査担当者から「渡り廊下」に面する部分の校舎の窓を防火設備(当時は乙種防火戸と言っていました)にしろとの指摘を受けました。

設計した「渡り廊下」の主要構造部は鉄骨造である上に、平屋で幅2m、全長10m程度のごく小規模でしたので、建築基準法第2条第六項の「延焼のおそれのある部分」に関するただし書き<ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁、その他これらに類するものに面する部分を除く>の「その他これらに類するもの」に該当すると判断していたため、校舎の指摘を受けた部分には防火設備を設けていませんでした。

上記の文言は現行の建築基準法の条文ですが、当時は「駐輪場、不燃物置き場などの火災の発生の恐れが少ない小規模な部分に面する・・・」という文言が書いてあったことを今回の例で確認審査担当者のお粗末な態度もあり、よく記憶残っています。

そのときは、ただし書き以下の緩和規定を考慮していないと思い、市の担当者と確認審査の窓口で、「・・などの火災の発生の恐れの少ない小規模」部分に該当するのではないかと申し入れましたが、担当者は「駐輪場、不燃物倉庫は書いてあるが渡り廊下は書いていない。」との一点張り。

いやいや、「火災の発生の恐れが少ない小規模」に、主要構造部を鉄骨で作り、しかも校舎とはエキスパンションジョイントで切ってある渡り廊下は該当する、と主張しました。

しかし当の担当者は上に書いたことを繰り返すばかりで、「渡り廊下」と書いていない以上、認めないとの一点張り。
こいつは駄目だと判断し市の担当者と共に建築主事に直に掛け合ったところ、主事は担当者の方をチラッと見ただけで、担当者の判断どおり、とのコメント。

主事がそう述べた以上、こちらとしてもそれ以上の反論を封じられたようなものでした。建設省の住宅指導課に問い合わせをしてくれと喉まででかかりましたが、ソレをすると役人のやることはとにかく時間がかかるばかりということはわかりきっていましたので、やむを得ず諦めて建築確認審査窓口を辞しました。
帰りの道すがら、同行した市の担当者も、総鉄骨造の渡り廊下を燃やせるものなら燃やしてみろよと腹立ち紛れに述べていましたのには痛く同感しました。

これも非常に印象に残っています。
とにかく文言に書いていない以上認めないという態度に、流石に日本の役人。融通の効かなさといいその理解力の乏しさに頭が下がるほど。
このような判断力の悪い役人のせいで、今回のように公共事業での税金を使わされたり民間でも必要のないコストを掛けさせられたりすることはあまたありますが、当の審査担当者には何ら痛みも感じていません。

さて現在の建築基準法では「渡り廊下」は、私が主張したように、校舎と構造的に縁を切っていれば「延焼の恐れのある」部分からは除外されています。つまり延焼ライン内の防火設備は不要ということです。当時にはこういう解説文がどこにも見当たらなかったこともあって、件の審査担当者の硬直した発想で某市は無駄なコストを掛けさせられる羽目になりました。

これも前回書いたことと同様に、頭に残った事例です。
今回の担当者は前回と違って少々経験も積んでいるように見えましたが、役人を長くやっているためか己が許認可権を握っていると勘違いしている様子でした。

このように上げてみると本当にいろいろ思い出せます。

某市での共同住宅の確認申請時に、接する道路側溝もやりかえるような指導を受けたのにもびっくりしました。
そういうインフラは民間の仕事じゃないだろうと抗議しましたが、等の担当者、「いや、皆さんにやってもらっていますから。」と。

ソレは役所と揉め事起こしたくないから渋々従っているだけであって、ソレが正当なことだと思うのがおかしくないか。と食い下がりましたが、皆さん協力してくれていますよと、何の申し訳無さも見せず、当たり前の顔をして。

これ以上抗議したら、確認審査を遅らせる嫌がらせを受けることも経験済であれば、ソレは結局オーナーに迷惑がかかるので、オーナーに伝えてみますとその場は引き取りました。

オーナーには指導内容を伝え、拒否する権利は当然あるし、嫌がらせを受けたら裁判という手段もあり、似たような訴訟ではことごとく行政が負けているととも伝えましたが、オーナーも役所と揉め事を起こしたくない(これが役所の思う壺だとわかっていますが)ために、やむを得ず側溝のやりかえを引き受けることになりました。
その旨を当の役所で伝えたところ、審査担当者はありがとうの一言もなく、当然のような顔をしていたのを見た時には、心底怒りがこみ上げたものでした。

もちろん、このレベルの役人ばかりではなく、中には有能な役人もたくさんいることは知っていますよ。
確認審査が民間で可能になりましたので、今は許認可以外は民間審査機関に出しています。

いやはや、確認審査という段階にはいにいろいろなことがあるということがおわかりいただけましたか。



2018/09/19 (Wed) 10:52
確認審査段階で驚いた話Ⅰ

設計の仕事には必ず建築確認申請という実にめんどくさい作業があります。
これは工事着工前に建築基準法に合致しているかどうかを行政側の確認審査窓口(現在では民間でも審査できるようになっています)に「確認」させるための、いわば関所みたいなものです。

この確認審査受付前には、工事予定地の市町村の条例に合っているかどうかの事前協議をして合格しないと確認審査受付をしないという別の関所もあります。

規模の大きな建物になると、市町村との事前協議もなかなか時間も係るので、審査受付してもらえる段階に至ると、それはつまり市町村条例に問題なしというお墨付きをもらったことになるので、第一段階クリアという気になるものです。

という手順をざっくりと説明した上で、今まで確認申請をした中でいろいろ無茶苦茶なことを言われて、そのあまりにも理不尽な指摘を受け、審査担当者(つまり役人)と侃々諤々やり合うこともしばしば有りました。

今でも忘れられないことが多々ありますが、その中でも最大級の驚きは、とあるセンターコートを設けた集合住宅を計画していたときに、計画段階で私が考えた避難経路の問題の有無を確認したくて審査家の窓口に相談に行ったと思し召せ。

その時は午後一番に行き窓口で事前相談の申し込みをしたところ、「なんで午前中に来ないんだ。午前中にしてくれと書いてあるだろう。」といきなり怒声を浴びました。
確かに窓口には「相談は午前中にお願いします。」と書かれたプレートが立っていました。これはどこの確認審査窓口には置いてある代物です。

「確かに見ました。しかしあれはお願いじゃないのか。文章から判断すると、午後からは職員が現場に行くので、あなた方職員の都合を優先したわけじゃなく、相談に来る我々の都合を考慮した文言のはず。しかし現にあなたはここにいるが、あなたには相談できないのか。」と怒りを抑えながらやんわりと抗議したところ、くだんの窓口の役人、渋々と応じたまでは良かったんですが、センターコート部分をさして、ここは床面積に入れろとのこと。

はぁ?屋根もないのになぜ
と尋ねたら、将来屋根をかける可能性があるから、との驚くべき発言。

おいおい、ソレ言い出したら、私もあなたも将来どんな犯罪を犯すかわからないから今のうちに取り締まっておけというのと同じじゃないかと反論しました。

あまりの馬鹿馬鹿しさに、こいつは駄目だとわかり、後日もっとしっかりとしていそうな人を捕まえて相談した記憶がありますが、このレベルの役人が確認審査しているかと思うと暗澹たる気持ちになったものでした。

これは今までの経験の中で最高に驚いたのでいまだに忘れませんが、今でもそれほど大きく違っていないという経験をもっと後で経験しました。

これは次回に。



2018/08/07 (Tue) 09:20
何度も書きましたトイレの話です。

住宅系では使用者による利便性-小便器を付けるかつけないかという問題で、私は予算や面積に余裕があれば住宅でも小便器を付けたいと思っています-をそれほど気にすることもないトイレですが、公衆便所は当たり前として、特殊建築物や公共建築でのトイレ設計は結構神経を使います。

身体不自由者や高齢者、乳幼児同伴の夫婦が利用できるための多目的トイレも普通に見かけるようになりました。学校でも多目的トイレは男女以外のスペースを確保することは当たり前のようになっています。

小中学校では男子生徒が大の用を足すために個室ブースに入るのを恥ずかしいために我慢を強いられているというニュースや記事を目にすることが増えてきました。この辺は私が子供のころの意識と違うというか、私が恥ずかしいと思っていなかったということもあって、ヘぇ~、そういう時代なんだと思っていました。
しかし、恥ずかしいから我慢するということは何よりも体に悪いし、男性は子供のころから大人になっても結構消化器系が弱くて毎日のように腹を壊している人が多いようです。この辺は便秘が多いといわれる女性との違いだろうと思います。

その対策として、今どきの子供は乳児のころから小便器に向かって用を足す経験はほぼ皆無に近く、圧倒的に洋便器でのほうが経験豊富なはずだし、個室にしたほうが周りを気にしないで済むので男子トイレも小便器をやめて女子トイレと同様にブース形式に統一して評判を得た小学校が紹介された記事を読んだこともあります。

この設計趣旨は大事だと意識にしていましたので、小学校の校舎の設計の際に男子トイレも小便器をやめてトイレを個室ブース形式で提案したこともあります。また、小学校時代は友達と集まる場所として結構トイレ回りのエリアが男女とも多い行動を鑑みて、トイレ回りのスペースを広げベンチを作り付けにして提案しましたが、その両方とも役所から何ら検討もされずに却下されました。理由は、文科省からの補助金で建築するので、その項目にそぐわないとの見解でした。

いまや方向性はこうですよと説得しても頑として拒否されたため、実現に至りませんでした。その経験から、なかなか発注者の意識がそこに至っていないと難しいなと実感しました。結果的には独り相撲を取っていた訳で、役所から見れば原資が国税である補助金の縛りがある以上はそういう見解しか取れなかったことは当たり前でしょうが、やはり残念な気持ちは残っています。

トイレ設計の一般論として、トイレ回りの利便性と清潔さを保つためには設計段階から検討していないと、いくら清掃員が毎日のように清掃していても、手が届かないとか清掃しづらい部分は自然と清掃する度合いが下がってきて、結果的に清潔さが保てなくなってしまいます。それは清掃員の怠慢だと片付けられない問題です。

と、いろいろトイレに関しても頭をひねっていましたが、先日目にした記事に、今まで全く意識していなかったことでショックを受けました。それはLGBTの人がトイレを利用しづらいという内容でした。

今やトイレといえば上に書いたように、男女、多目的というように3種類が当たり前にありますが、LGBTの人は、見た目と内面が違うために、見た目のほうのトイレを使うことに精神的なストレスがひどいとのこと。ならば多目的を使えば問題は解決するという安易な考え方も問題視されています。

身体不自由者でもないし幼児の同伴でもない自分が多目的トイレを使うことに罪悪感を持っているそうです。

これは全く意識していませんでした。もちろん過去に自分の周りにそういう人がいなかった、というより気が付きませんでした。その人たちは自分のそういう傾向を人に気が付かれないようにしていたためでしょう。

どういう方針を取ればいいのか今のところ私も戸惑っていますし設計の方向性もまだ見えていませんが、十分予想できることは特殊建築物や事務所ビルのトイレにそうした対策のトイレを設ける提案をしても、発注者に果たしてそれを受け入れてもらえる可能性は今現在の社会情勢でははなはだ心もとないということ。多目的トイレが普及してきた経緯を振り返ると、新たなこうした考え方は社会の許容量の問題になってきます。

安藤さんや隈さんのような発言力のあるメジャーがこうあるべきだと提言すれば世の中の先鋭的な感覚を持っている発注者には響くことでしょうが、社会の片隅で建築の設計をコツコツと取り組んでいる無名な建築士がどれだけドアをたたいても、まったくびくともせずに跳ね返されてしまうのは、何度も経験したことです。

学校のトイレの問題からLGBTの人たちのトイレの問題など、こと人の心理面と健康に重要な問題を含んでいるトイレいうエリアの設計は、まことに奥が深いと思い知らされたことでした。

トイレは単なる排泄行為だけを行うためのエリアではありえず、その社会がもつ多様性を受け入れるための許容量を計れるエリアかもしれません。




2018/06/22 (Fri) 16:46
ブロック塀倒壊は調査方法が不適切

倒れたブロック塀は、小学校が2015年に防災研修の際に外部から招いた講師から危険だと指摘を受けて、校長が市の教育委員会に連絡し、教育委員会が16年2月に塀を打診棒でたたい調査した結果安全だとの見解を出したようです。

調査した市の担当者は建築技術者であったようですが、建築士の有資格者ではなかったとのこと。

ここで専門家以外の方に間違った情報が伝わる恐れがあるので書きますが、そもそもブロック塀の安全調査で打診棒で調べることが間違っています。

打診棒による検査とは、劣化したモルタルやタイルなどの浮きが生じていないかどうかを叩いた時の音で判断するためのものですので、今回のようなブロック塀の安全性の検査には不適切です。

ブロック塀の安全性を調査することは建築基準法に合致しているかどうかを見極めることです。

1.高さ 2.控え壁 3.配筋 4.ブロックの厚み

この4項目が法規に合致していることを確認した後に、ブロックの割れなどを打診棒による調査をすることが適切です。したがって打診棒検査だけで安全だと判断したことが危険な塀を放置してしまいました。

上記に書いた項目のうち3を除けば目視や採寸で簡単にわかることばかりです。

3に関しては目視や打診では分かりません。かといって鉄筋の有無を調べるためのブロックを壊すことは非現実的ですので、非破壊検査として鉄筋探査機という超音波を出してその波形から内部の鉄筋の有無を判断する機械を使うことが一般的です。ここまで調査して初めて安全かどうかの判断が付きます。

ただし、その鉄筋の錆の有無までは判断できませんので、あくまでも調査段階での安全性の判断ということになります。

今回倒壊したブロック塀の安全性の有無を打診棒の検査結果だけで判断してしまったことが問題になってしまいました。

今回のようなブロック塀に限らず建築物の安全性の調査には慎重に時間をかけて行うことが必要です。鉄筋コンクリート造や鉄骨造は言わずもがな、木造でも基礎の鉄筋の有無や数を調べるためにも鉄筋探査機のような特殊な機械が必要になることも多々あり、その結果意外にコストがかかりますが、こと人命に関わる可能性を考慮すればやむを得ないものだと思います。



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